長期投資における損切りのタイミングは機械的な下落率ではなく、ストーリーが変わった時であるべき

個別投資における損切りの重要性
私は個別投資でキャピタルゲインを期待する投資を行っています。
ただし、短期間(数日~数週間)で売却するようないわゆるトレードではなく、保有する際にはもう少し長い時間軸(気持ちは次回の四半期決算までは少なくとも持つ)で保有できるような会社を選んでポジションを取っています。
トレードにしろ長期投資にしろ、個別投資で重要なことは間違いなく「損切り」です。
個別銘柄には市場全体と比較して、将来的に株価が上がっているという確実性は低いうえに、その会社固有の原因で株価が振るわないという危険性があるからです。
つまり、株価の下落が続いているにもかかわらず、「いつか上がるだろう」という考えで保有し続けることは市場全体に投資することと比較して危険性が高いというわけです。
もちろん投資する企業のバランスシートや業績を精査することで、倒産の可能性が低い会社や、株価が将来的に上昇する蓋然性が高いと考えられる企業を選択することは出来ます。
ただ、いずれにせよ、個別株のリスク(=ここで言いたいことは含み損を抱える可能性)は市場全体への投資に比較して高いと言えます。
損切りの基準は一般的には-5%~-10%に到達したら機械的に、というパターンが多い
一般的な損切の基準を考えてみると、購入額の‐5%~‐10%くらいになったら機械的に損切りするというパターンが多いのではないでしょうか?
自分は基本的な株入門みたいな本や、成長株の本を読んだりしたことがありますが、だいたいがこのくらいのレンジでの損切りを推奨しているように感じます。
高配当株投資からグロース株投資に切り替えてから1年以上たちましたが、オニールで読んだ‐8%という数字はやはりどこか頭の中にあって、一定の線引き材料として利用してきました。
ただ、今回のコロナショックで30%以上含み益のあったマイクロソフトがあれよあれよと‐15%くらいまで下がっていき、機械的に損切りするのであればとっくに切っていたのですが、結局切れませんでした。笑
‐8%で損切というのは強く意識していたというわけではないということもありましたが、やはり自分の中で損切への「納得感」が明らかに欠如していたんですよね。
その納得感のなさはどこから来たかと言ったら、「株価は下がっているけどストーリーは変わっていない」という意識から来たわけです。
株価が回復した今、結果論にはなってしまいますが、売らなくて正解だったわけです(自分は動けなかっただけですが)。
単純に下落率で損切をするのは短期トレードだけでは??
そして今、冷静に考えてみると、一つ自分の中に仮説が出来ました。それは、
購入金額からの下落率で機械的な損切を行うルールを作るべきなのは、保有期間が短期間(数日~数週間)となることを想定したトレードを行う際だけなのではないか??
ということです。
例えば今回のコロナショックのように市場全体が何が何でも売られてしまう際には、自分がその株を買ったときのストーリーは崩れていないにも関わらず、簡単に購入金額から‐10%なんてことはザラにあるわけですから、定量的な数値でもって損切を決定するのは違うのではないかな?と考えたのです。
それではどうしたらいいかというと、
自分が購入した時に立てたストーリー(その会社を買った理由)が崩れていない限りは、株価が購入金額から-10%になろうと保有し続けた方が良いのではないかと考えています。
今回で言えば、マイクロソフト(MSFT)は自分が購入した時のストーリーが崩れていないのに株価があれよあれよと下がりました。
ではストーリーはそもそも何だったかと言えば、
「ハードウェア、officeのサブスクリプションに加え、クラウドのAzureが2桁成長を続けていて、今後も成長が見込まれる。決算が良い限りは持ち続ける」
細かいところはまだありますが、簡単に言えばこんなところです。
では今回のコロナショックでそのストーリーが崩れたか?と言えば、
明らかにNOなわけです。
ここで売るということに対する違和感というのはやはり、ここから来ていたのではないかと思います。
一方でコロナショックで損切りした銘柄もあります。
それはスターバックス(SBUX)です。
自分のストーリーは、「前年比売上高成長率が2桁を上回り、ブランド力も高い。決算が良い限り持ち続ける」
というものであったのですが、今回のコロナショックで、明らかに「前年比売上高成長率が2桁を上回り」の部分のストーリーが崩れました。
そのため、損切りを決意したわけです。
損切りの基準はストーリーで考える
以上の例で見たことからもわかるように、株価下落局面で考えるべきことは、
「自分の立てたストーリーはどうなっているか?」
ということではないかと思います。
もちろん例外もあるかと思いますが、しばらくはこの考え方で投資を行っていきたいと思います。